テーマ:旅行

兄の長屋で一泊、塩屋岬の灯台見物

 夕方、宿の女中は別の部屋に私を移してくれた。兄夫婦を迎えに行った妻はなかなか戻って来なかったが、七時になってようやく兄たちを連れて帰って来た。一休みしてから話を聞くと、兄のいるその海岸町には昔から一つの風習があって、隣組のなかで人が死ぬと、その身内はもちろん、親戚もいっさい葬儀に関しては手を出してはならず、隣組の人が三日間仕事を休…
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四男の兄の見舞いに身重の妻と塩屋への旅 1

 焼け野原の水戸、灰燼に帰した日立  こんな生きにくい世の中になったのに、昭和二十年十一月、私はやむを得ない用事のため、妻と二人で戦後初めての旅をすることになった。終戦直前、福島県の海岸町小名浜へ工場ぐるみ疎開した四男の兄の会社が終戦とともに倒産してしまい、小さな町工場だっただけに退職金も出ず、東京からついて行った工員たち…
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大間崎へ、下北西部要塞地帯への旅 前編

今回は少々長いので、前後編に分けて掲載。  尻屋崎の旅では死ぬほどひどい目に遭ったはずなのに、なぜか私には下北を恋うる気持ちが消えなかった。昭和十七年の春、突然、徴用が解除になって東京へ帰ることになったときも、このつぎは兵隊かと思うと、生きてふたたび下北を見ることはないような気がした。そして今生の別れにもう一度下北の旅をし…
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