やくざがしきった上野での切符買い

私が初めて汽車の買い出しに行ったのは、桜の花も散りかけた四月の中ごろだった。想像していたとおり、汽車利用の買い出しの困難さと恐ろしさは、口ではいいあらわせない地獄のドラマを地でいくようなものだった。  その恐ろしさは、まず汽車の切符を買うことから始まる。切符は去年(昭和二十年)の十月から駅に並べば先着順に発売するようになってい…
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