浅間高原 吾妻渓谷サイクリング


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 (昭和十四年)十月上旬、上野駅を自転車とともに夜行で出発。信越線の沓掛駅(中軽井沢駅)より浅間高原を縦走、三原の町から吾妻川の渓谷沿いに走り、矢倉で吾妻川と別れて右折する。その後、大戸、室田を経て高崎に出、列車で帰る。高原と渓谷を組み合わせたサイクリングで、走行約九十キロの夜行日帰りの旅だった。
 < 草思社発行 長谷川末夫著 「汽車が好き、山は友だち」より抜粋 >

※ スケッチは前年、昭和十三年十月九日のものを使用。

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上の元原稿を読んで頂けると幸いなのだが、今回も転記する時間が無いので、すべて末夫さんの著書からの抜粋で済ませることにする。

 浅間高原と吾妻渓谷の魅力ある輪行

 沓掛駅を早朝に出発、左手に浅間山を望みながら草津街道を走る。別荘地帯から峰ノ茶屋までの間、浅間越(1,406メートル)の登りが急坂の連続で苦しかった。だが、付近の紅葉はひときわみごとだ。とくに浅間越手前の展望台より見る浅間山の雄姿は言葉ではいいあらわせないすばらしさがあった。峠を越えると道は目の覚めるような色彩の六里ヶ原高原を下る。間近に見る浅間山の豪壮さと、鬼押出の奇観と、かぎりなく広がる六里ヶ原高原のたおやかさは絶妙の組み合わせだった。道は浅間の雄大な裾野を吾妻川の谷へ下り、三原の町に出て、吾妻川沿いに長野街道を走り下る。古い街道に点在する山国らしい家々の形も古く、見ていて心が和む。長野原の昔の宿場町をすぎ、久森洞門という岩山を削った隧道をすぎるあたりから、渓谷はしだいに深くなり両岸の山が迫ってくる。この右上、川の対岸に川原湯温泉がある。川を渡って寄ってみる。こぢんまりとした温泉場だが、なかなか賑やかだった。胃腸病に効くといわれ、自由に入れる共同浴場もあって、私も三十分ほど湯に浸かって休んだ。入浴料は取られなかった。

 川原湯温泉をすぎると、いよいよ山は迫り、関東の耶馬渓といわれる名勝地に入る。渓谷の長さ約四キロ、両岸は迫り、深さ五十メートル、狭いところでは幅三メートルしかなく、目を凝らしても底が見えない。渓中十勝ありといわれ、八丁暗がりという約一キロほどのあいだが、とくに凄い景勝だった。さらに谷に蓋をしたような原始林の茂みは紅葉を映して錦秋の美に彩られていた。ここをすぎ、一走りすると矢倉の村に着く。吾妻川を渡って原町街道に入り、大戸、室田と榛名山の西麓を走って高崎に出る。原町街道も実に静かで、自然が横溢する準高原を縫う美しい道だった。榛名山の根腰を越えるあたりは古代もかくやと思われる気の遠くなるほどの静けさだ。原町街道はその昔、国定忠治が信州に落ちてゆくさい関所破りをした道で、大戸の村の近くに忠治の刑場跡と忠治地蔵があった。田舎びた親しみやすい室田の村をすぎると、道は町の中を貫き、約一時間強で高崎の駅に着いた。

 < 草思社発行 長谷川末夫著 「汽車が好き、山は友だち」より抜粋 >

※ 転記 太田


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